ON のシューズはソールの減りが早い?

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ON のシューズはソールの減りが早い? 真相を徹底検証する

「ONのシューズ、履き心地は最高なんだけど、ソールの減りが早くない?」
「ランニングショップで、ONは消耗が早いと聞いたことがある」

スイス発の高級スポーツシューズブランド「ON(オンスニーカー)」を検討している方なら、一度はこんな声を耳にしたことがあるかもしれません。特徴的な「クラウドテック」のソールは、その独特な見た目と抜群のクッション性で大人気ですが、その一方で「耐久性」に関する疑問も常について回ります。

この記事では、「ONのシューズは本当にソールの減りが早いのか?」 という疑問に、その構造的な理由、実際のユーザーの声、適切な使い分け方法までを徹底的に掘り下げて解説します。単なる噂ではなく、事実に基づいた情報で、あなたのシューズ選びの参考にしてください。

第一章:なぜ「ソールの減りが早い」と言われるのか? クラウドテックの構造から解き明かす

結論から言えば、「特定のモデルと使い方において、確かに摩耗が進みやすい傾向がある」 というのが公平な見解です。しかし、それは単なる「欠点」ではなく、ONが追求する「快適性」と「走り」の代償である面が大きいのです。

その核心にあるのが、独自の「クラウドテック(CloudTec®)」ソール技術です。

  1. 独立した「クラウド」ブロックの構造
    ONのソールは、連続した一枚のラバーではなく、無数の独立した「雲(クラウド)」のようなブロックで構成されています。このブロックが着地時の衝撃を垂直方向に分散し、「地面に沈み込む」ような独特の柔らかい衝撃吸収を実現しています。しかし、この「独立した」構造が、摩擦に対する抵抗力において、一枚岩のソールよりも物理的に弱い面があります。特に、ブロックのエッジ部分から摩耗が始まりやすいのです。
  2. 「しなる」ための溝「スピードボード」
    多くのONモデルには、ソールの中足部あたりに深い溝(スピードボード)が刻まれています。これは、クラウドブロックの変形を促進し、蹴り出しの時に大きな反発力(しなり)を生み出すための設計です。しかし、この溝があることで、ソールの構造強度がさらに低下し、特に「ひねり」の動きに対して弱くなる傾向があります。
  3. 素材の特性:グリップと引き換えの耐久性
    ONは高いグリップ性能を誇る「グリップバー」ラバーを採用しているモデルが多くあります。一般的に、グリップ性が高いラバーは柔らかく、アスファルトなどの粗い路面との摩擦にさらされると、どうしても摩耗が早くなりがちです。これはONに限らず、高グリップタイヤが消耗しやすいのと同じ原理です。

つまり、「衝撃吸収」「反発力」「グリップ」というランナーが求める最高の性能を追求した結果、構造的・素材的に「摩耗」と引き換えになっている部分がある というのが真相です。

第二章:ユーザーの声を集めて検証! 実際の摩耗レポート

ネット上の口コミや実際のユーザーの体験談をまとめると、摩耗のパターンは主に以下の2つに集約されます。

  • パターンA:後足部外側のクラウドブロックの欠け
  • 対象モデル:クッション性の高いモデル(Cloudstratus, Cloudmonster など)。
  • 原因: heel striker(かかと着地)のランナーが、アスファルトなどの硬い路面で走った場合。着地の衝撃が一点に集中し、独立したブロックの角から剥がれ落ちるように摩耗します。これは「減り」というより「欠け」に近い現象です。
  • パターンB:中足部〜前足部のスピードボード付近の極端な摩耗
  • 対象モデル:しなりを重視したモデル(Cloudflow, Cloudsurfer など)。
  • 原因: 蹴り出しの際に、スピードボード部分が大きくしなるため、その部分のソール(特に親指の付け根あたり)が集中的に削れます。

重要なのは、この摩耗が「性能」に直結するかどうかです。
多くのユーザーは、「見た目はボロボロに見えても、クッション性そのものは数百キロ走っても感じられない」と報告しています。クラウドブロックの表面が削れても、その下の層にもう一つクラウドがある「ダブルクラウド」構造のモデルなどは、見た目以上の耐久性を発揮する場合があります。

第三章:モデル選びが全て! 摩耗しにくいONシューズを見極めるポイント

「ON=減りが早い」は一括りにできません。モデルによって使用目的と耐久性は大きく異なります。摩耗を気にする方が選ぶべきポイントは以下の通りです。

  1. アウトソールのカバー率をチェックする
  • 摩耗しにくいモデルCloud 5, Cloudnova, Cloudvista など。これらのモデルは、独立したクラウドブロックを、一枚の滑りやすい「インジェクションスポーツラバー」や耐久性の高いラバーで覆っているため、摩擦面が広く、ブロックの欠けが起きにくい設計です。特にライフスタイルモデルや、オールラウンドなトレイルランニングモデルにこの傾向が見られます。
  • 摩耗しやすいモデルCloudstratus, Cloudmonster, Cloudflow など。クラウドブロックがむき出しになっており、最高の衝撃吸収と反発を求める代わりに、直接路面と接触するため摩耗のリスクが高まります。
  1. 「ヘリオン™スーパーフォーム」の中底素材を確認する
    ONの高性能中底素材である「ヘリオンフォーム」は、軽量かつ高反発で耐久性にも優れています。この中底自体の性能劣化は比較的少ないため、アウトソールが多少摩耗しても、中底のクッション感は長く保たれる傾向があります。
  2. 使用目的を明確にする
  • 日常使い・ウォーキング: Cloud 5 や Cloudnova など、アウトソールカバー率の高いモデルが圧倒的におすすめです。耐久性も高く、快適です。
  • ロードランニング(摩耗を気にする方): Cloudvista や Cloudsurfer など、比較的アウトソールのプロテクションがあるランニングモデルを選ぶか、あるいは「消耗品」と割り切って、走行距離で計画的に買い替える覚悟が必要です。
  • トレイルランニング: Cloudvista, Cloudultra など、トレイル専用モデルは鋲(プロテクションブロック)が立っており、アウトソールもトレイル用に強化されているため、ロード用よりも摩耗への懸念は少なくなります。

第四章:ソールの寿命を延ばす! 正しい使い方とメンテナンス法

せっかくの高性能シューズ、少しでも長持ちさせるためのコツをご紹介します。

  1. 「走行専用」と「日常使い」を分ける
    これは最も効果的な方法です。アスファルトでのランニングはソールにとって最も過酷な環境です。通勤や買い物などで毎日舗装路を歩くことで、ランニング以外のところでソールを消耗させてしまうのは非常にもったいないです。ONの履き心地が好きなら、日常使い用にアウトソールカバー率の高いモデルを別で用意するのが賢い選択です。
  2. 走行路面を考慮する
    可能であれば、芝生や土のトレイル、タータン track など、比較的ソールに優しい路面を走ることで、摩耗速度を大幅に遅らせることができます。
  3. 正しいシューズケア
    汚れを落とし、直射日光や高温の場所で保管しないことは基本です。水洗い後は、クラウドブロックの隙間に詰まった小さな石などを取り除いておくと、さらに摩耗の原因を減らせます。

第五章:総括 ── ONのシューズと、あなたの「価値観」のマッチング

「ONのシューズはソールの減りが早い?」という問いに対する最終的な答えはこうです。

「最高のクッションと走りを追求する一部のコアランニングモデルでは、確かに摩耗が早まる傾向がある。しかし、それは性能と引き換えの『特性』であり、モデルを適切に選び、用途を理解すれば、十分に満足のいく寿命を得られる。」

ONを選ぶということは、「耐久性」だけでなく、「履き心地」「走りの快楽」「デザイン」といった総合的な価値に対して投資をする ということです。

  • 1000kmを超えてもソールがピンとしている耐久性を最優先する方は、他ブランドの方が適しているかもしれません。
  • 一方で、「毎日のランニングが、これまでにないほど快適で楽しいものに変わった」という体験が、ソールの早期摩耗というコストを上回る価値があると感じる方も大勢います。

あなたが何を求め、何を許容できるのか。その価値観で判断することが、後悔のないONシューズとの付き合い方なのです。ぜひ、自分の走り方とライフスタイルに照らし合わせて、最適な1足を見つけてください。

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